海外旅行から帰ってきて、財布やポーチの底に残った現地通貨。
次にいつ使うあてもないまま、気づけば引き出しの奥で眠っているパターンがあります。
私の家にもそういう紙幣とコインが何年分もたまっていました。
余った外貨の使い道としてよく挙がるのは、日本円への再両替、次回の渡航まで保管したり、記念に持ち帰るあたりだと思います。
ただ、調べてもはっきりしません。再両替できる場所やレートの実態、小銭の扱い、旧札が使えるのかどうか。このへんが曖昧なまま放置している人は多いはずです。
そこで私は、家中からかき集めた外貨を実際に台北の銀行まで持ち込んでみました。この記事は、その結果の記録です。うまくいかなかった部分もそのまま書いています。
- 余った外貨を棚卸ししたときのリアルな内訳と金額
- 空港や街中の自動両替機が対応している通貨の狭さ
- 銀行のレート表から計算できる通貨ごとの目減り率
- 再両替せず取っておくほうが合理的になる条件
余った外貨の使い道に悩んだ11通貨の実態
まずは、そもそも何がどれだけ残っていたのかという話からです。意外と自分でも把握していないんですよね・・。私も全部出してみるまで、こんなにあるとは思っていませんでした。棚卸しの結果と、通貨ごとの事情を順に見ていきます。
棚卸しで出てきた外貨は10万円相当
台湾経由でバリ島へ発つ5日前に、家にある外貨を全部引っ張り出しました。畳の上に広げてみて、正直ちょっと引きました。

サウジリヤルなど再訪予定のない通貨も残っている
数えてみたら11通貨、合計で約10万円相当ありました。内訳はインドネシアルピア、台湾ドル、イスラエルシェケル、香港ドル、マレーシアリンギット、カナダドル、ユーロ、シンガポールドル、タイバーツ、中国人民元、米ドルです。
渡航のたびに少しずつ残ったものが、何年もかけて積み上がった結果ですね。1回あたりは数千円でも、20年以上・40カ国以上を回っているとこうなります。毎回こうして広げて仕分けして整理して計算して・・。
並べてみて最初に思ったのは、「高額紙幣より小額紙幣とコインのほうが場所を取る」ということでした。高額紙幣は次の渡航で真っ先に使うので残りにくいんですね。逆に、最後まで財布の底に沈むのは1枚あたり数十円から数百円のものばかりです。数は多いのに金額は小さい。この非対称が、余った外貨を扱いにくくしている原因だと思います。
棚卸しでわかったこと
- 1回の渡航で残るのは数千円でも、積み上がると数万円規模になる
- 直近に行った国の通貨がいちばん多く残っている
- 高額紙幣より、使いどころのない小額紙幣とコインが場所を取る
- 何がいくらあるかは、全部出さないと自分でも把握できていない
このとき全部出した動機は、台北やバリ島が国際的な観光地なので、日本円や米ドル以外の通貨も現地で両替できるかもしれないと考えたからでした。眠らせておくくらいなら、持って行って使えるものは使ってしまおうという発想です。結果的にこの目論見は大いに外れるのですが、それは後半で書きます。
一番多かったのはインドネシアルピア
いちばん多く残っていたのはインドネシアルピアでした。理由は単純で、最も多い渡航先がインドネシアだったからです。

写真の束を確認すると、2000・5000・1万・2万・5万ルピアと、額面が一通り揃っていました。ただ、最高額の5万ルピア札でも、日本円にすると数百円程度にしかなりません。
ルピアは桁が大きいので、金額の感覚がつかみにくいのが厄介なところ。1万ルピアでも100円ちょっと。だから帰国前に「これくらいなら残してもいいか」と思ってしまう金額のハードルが、他の通貨より下がるんですね。空港で使い切ろうとしても、買い物のたびに必ず端数が出ます。
2番目に多かったのは台湾ドルでした。台湾は何度も行っているので、そのたびに少しずつ残った分が積み重なっています。こちらは「また行くから」と割り切って残していた面もあります。
ここから見えてくるのは、直近で行った国と、リピートしている国の通貨が集中的に余るということです。逆に言えば、この2種類は再訪の可能性が高いので、無理に両替せず取っておくのが理にかなっています。実際、台湾ドルもルピアもその後の渡航で普通に使えました。額面どおり使えるのだから、手数料を払って替える理由がありません。
問題は、そのどちらにも当てはまらない通貨のほうです。
2018年から動かないイスラエルシェケル
いちばん困っているのがイスラエルシェケルです。2018年ごろに渡航したときの残りが、2万円弱そのまま残っています。

束を広げると、20シェケル札を先頭に50シェケル、100シェケルが重なっています。小銭の寄せ集めではなく、普通に使える額面の紙幣が2万円弱ぶん眠っている状態です。棚卸し全体の多くを1通貨が占めている計算になります。無視できる額ではありません。
それでも動かせていないのには理由が2つあります。
ひとつは国際情勢です。再訪の見通しが立たない状況が続いていて、「次に行ったときに使おう」という前提そのものが崩れてしまいました。もうひとつは、イスラエル以外でシェケルを扱っている両替所がほとんど見当たらないことです。主要通貨ではないので、街の両替所のレート表に並んでいるのを見た記憶がありません。この記事の後半で紹介する台湾銀行のレート表にも、シェケルは載っていませんでした。
再訪の見込みがない国の通貨は、想像以上に行き場がない
主要通貨から外れると、日本国内でも海外でも取り扱い自体が少なくなります。「そのうち両替すればいい」と思っていると、扱ってくれる場所がないまま時間だけが過ぎます。金額が大きくなりそうな渡航では、現地を離れる前に使い切る前提で動いたほうが安全かなと思います。
正直なところ、今のところ保管しておくよりほかに手がありません。ここは素直に悔しいです。日本で両替しようにもレートが良くない上に、そもそも取り扱っている窓口をほぼ見かけないという二重苦になっています。教訓としては、主要通貨以外は「その国を出る前に使い切る」を原則にしたほうがいいということですね。
空港の出国エリアで多少割高な買い物をしてでも、使い切ってしまうほうが結果的に損が小さいと思います。
外貨をチャック袋で通貨別に保管する
今の保管方法は、通貨ごとにチャック付きの小袋へ分けるやり方に落ち着いています。

特にコインは、混ざると判別に本当に時間がかかります。国が違ってもサイズと色味が似ていることが多く、アジア通貨の銀色のコインなんてぱっと見では区別がつきません。刻印を一枚ずつ確認する羽目になります。袋に分けておけば、渡航先が決まった時点で該当の袋を取り出すだけで済みますし、余ったぶんを戻すときも迷いません。
紙幣のほうは、仕切りのある布製のトラベルウォレットにまとめています。

この財布は東南アジアを旅行したときに現地で買ったものです。現地で買う財布は安いですし、旅の記念にもなるのでおすすめです。
専用の高い旅行グッズをわざわざ買わなくても、仕切りさえあれば役割は十分に果たしてくれます。生地が薄いぶんかさばらないのも、機内持ち込みの荷物としては助かっています。
ポイントは「完璧に整理しようとしない」ことかなと思います。金額を1円単位で管理しようとすると続きません。ただ、少なくとも、各通貨ごとに分かれてさえいれば、必要なときに必要な袋だけ開ければ済みます。
旅行前に毎回数えていた頃のやり方
今の形になる前は、正直ぐちゃぐちゃでした。通貨も紙幣もコインも整理せず、まとめて一箇所に突っ込んでいただけです。
その結果どうなったかというと、旅行のたびに全部の紙幣とコインを1枚ずつ数え直すという作業が発生していました。これがどれだけ辛いことか・・。
渡航先の通貨がどれだけ残っているかを知りたいだけなのに、関係ない国の紙幣まで全部かき分けることになります。台湾ドルの残高が知りたいだけなのに、なぜかカナダドルとリンギットを仕分けしている、という状態ですね。
これが地味に時間を食いますし、出発前のバタバタした時間帯にやる作業としては最悪でした。しかも急いでいるので数え間違えます。「思ったより残っていなかった」と現地の空港で気づいて、慌てて両替に走ったこともあります。
保管を変えるだけで減る手間
通貨ごとに分けておくと、渡航先が決まった瞬間に「その袋だけ」を確認すれば済みます。棚卸しそのものが不要になるわけではありませんが、毎回全量を数え直す必要はなくなります。袋の中身を写真に撮って残高をメモしておくと、次回さらに楽になりますよ。
整理の手間は最初の1回だけで、そのあとはずっと楽になります。私の場合、その最初の1回がこの2023年8月の棚卸しでした。ここからずっと、旅行のたびに、こうやって管理しています。
逆に言えば、それまでの何年間かは毎回同じ無駄を繰り返していたことになります。もっと早くやっておけばよかったですね。
なおこれから紹介する、台北の街なかの両替事情については、別の記事にもまとめています。迪化街のコンビニに設置されていた外貨自動両替機を実際に使おうとした話は台北市内の両替と迪化街の外貨自動両替機が使えなかった記録にありますので、台北で両替する予定がある方はそちらもどうぞ。
余った外貨の使い道は再両替が正解か
ここからが本題です。集めた通貨を持って、実際に台北の銀行まで行ってきました。結論から言うと、思っていたようにはいきませんでした。何がどう駄目だったのかを、レート表の実物と一緒に見ていきます。
台北の自動両替機は3通貨のみ対応
台北で外貨自動両替機を見つけたので、まずそこから試そうとしました。ところが画面を見た時点で無理だとわかりました。

画面に並んでいたのは新臺幣(台湾ドル)・美元(米ドル)・日圓(日本円)・人民幣(中国元)。台湾ドルを軸に考えると、実質的に交換相手として選べるのは米ドル・日本円・人民元の3通貨だけです。私が持ち込んだ通貨のうち、ここで扱えるのは米ドルと人民元くらい。ルピアもシェケルもリンギットも、選択肢にすら出てきません。
しかもよく見ると、画面の操作項目は「外幣提款 / Foreign currency cash withdrawal」だけでした。これはカードから外貨を引き出すための機械であって、手持ちの紙幣を投入して両替する機械ではないということです。機械の下部には「本機不提供新台幣提款功能(この機械では台湾ドルの引き出しはできません)」とも書かれていました。
つまり、余った外貨を持ち込む側にとってはそもそも用途が違う機械だったわけです。ここは完全に私の勘違いでした。「外貨両替機」という言葉から連想する機能と、実際に置かれている機械の機能が一致しないことがある、というのはひとつの教訓かなと思います。

というわけで、機械はあきらめて銀行の窓口へ。番号札を取って順番を待ちました。窓口には窓口の制約があり、営業時間内に行く必要があります。
ちなみに迪化街の両替機はその後さらに状況が変わっていて、再訪時に迪化街の両替機が撤去されていた件にまとめてあります。設置状況はすぐ変わるので、現地の最新情報は変わっている可能性がありますのでその点ご注意を。
台湾銀行のレート表で見た目減り率
窓口で順番を待っている間、店内モニターのレート表を撮っておきました。これがこの日いちばんの収穫でした。

注目してほしいのは現金買進(銀行が現金を買い取る値)と現金賣出(銀行が現金を売る値)の開きです。この2つの比率が、そのまま「買って売り戻したときにどれだけ減るか」になります。
| 通貨 | 現金買進 | 現金賣出 | 買い戻し時の目減り |
|---|---|---|---|
| 歐元(EUR) | 33.93000 | 35.27000 | 約3.8% |
| 紐元(NZD) | 18.47000 | 19.32000 | 約4.4% |
| 泰幣(THB) | 0.77400 | 0.96400 | 約19.7% |
| 菲國比索(PHP) | 0.49800 | 0.63000 | 約21.0% |
| 印尼幣(IDR) | 0.00173 | 0.00243 | 約28.8% |
*注意:当時のレートになるので、あくまで参考値です。
ユーロが約3.8%なのに対して、インドネシアルピアは約28.8%。同じ銀行の同じ時刻の表で、これだけ差がつきます。10万円分のルピアを買って、使わずに売り戻したら3万円近く消える計算です。
もうひとつ、この表には見逃せない列がありました。「即期」、つまり現金を伴わない為替のレートです。タイバーツを比べると、即期は買進0.88640・賣出0.92640で開きは約4.3%しかありません。同じ通貨でも、現金でやりとりした瞬間に開きが約19.7%へ跳ね上がるわけです。
そしてフィリピンペソとインドネシアルピアには、即期のレート自体が表示されていませんでした(欄が「-」になっています)。取り扱いが現金だけに限られている通貨は、そもそも条件が厳しいということですね。ここが主要通貨との決定的な差だと思います。
現金の両替は「二重に不利」になっている
為替そのもののレート差に加えて、現物の紙幣を保管・輸送・鑑別するコストが上乗せされます。だから同じ通貨でも現金レートのほうが不利になります。マイナー通貨ほどこの上乗せが大きく、往復で2割から3割が消える水準まで開きます。
両替したのはユーロ・中国元・香港ドル
結局、この日に両替したのは日本円と、ユーロ・中国元・香港ドルという少々ややこしい組み合わせで両替でした。表の目減り率を見て選んだ結果です。
ユーロは約3.8%なので、持っていても次にヨーロッパへ行く予定がないなら替えてしまってよいと判断しました。主要通貨は条件が良いぶん、決断もしやすいです。中国元はもはやデジタル化のために不要と判断。
タイバーツは約19.7%と決して良くはないので、取りやめ。手持ちが旧デザインの紙幣で、そのまま持っていても扱いに困りそうだったけど、両替自体をやめました。
逆に、いちばん金額が大きかったルピアは手をつけていません。約28.8%も減らすくらいなら、次にインドネシアへ行くまで持っているほうが合理的です。実際、その後も何度か訪れているので、この判断は正解でした。ルピアはインドネシア以外では両替しない、というのが今の私の方針になっています。
結果として、持ち込んだ通貨のうち、片付いたのは1通貨だけです。当初の「バリ島でまとめて処分しよう」という目論見からすると、完全に不発でした。
この日の結果まとめ
- 持ち込み:約5万円相当
- 両替した:ユーロ・中国元・香港ドル
- 手をつけなかった:ルピア(目減り率が大きすぎる)ほか
- 残った:約3万円相当
※金額はいずれも当時のレートによる概算で、時期や条件により変動します。
ついでに白状すると、この渡航では空港での両替をすっかり忘れていました。空港は手数料が上乗せされることも多いので結果オーライではあるのですが、街の銀行は営業時間が限られます。
両替を予定に入れるなら、時間の確保は先にしておいたほうがいいですね。台北の空港から市内へ最短で移動した記録は桃園空港から台北市内へ最速で移動した実測レポートにあります。
旧札は両替所で断られても現地で使える
タイバーツの話に補足があります。手持ちの中に、旧デザインの10バーツ紙幣が混ざっていました。

写真の紙幣がそれです。ラーマ9世の肖像が入ったデザインで、紙はかなり黄ばんでいます。長いあいだ手元にあったのが見た目でわかる状態でした。
この旧札、両替所では受け付けてもらえませんでした。古い紙幣は真贋の判定が難しかったり、そもそも取扱対象外だったりするようです。ここで「もう使えないのか」と諦めかけました。
ところが後日、タイのチェンマイへ行ったときに使ってみたら、現地の店では普通に受け取ってもらえました。両替所で断られた紙幣が、現地では何事もなく通用したわけです。あっさり受け取られたので、こちらが拍子抜けしたくらいでした。
旧札は「両替できない」と「使えない」が別物
両替所やレート表の窓口で断られても、その国の中で買い物に使えるケースがあります。法定通貨として有効なら、店側が受け取ってくれる可能性は残っています。逆に言えば、旧札は現地で使い切ってしまうのがいちばん確実です。ただし取り扱いは店舗や時期によって変わりますので、大量に持ち込むのは避けたほうが無難かなと思います。
この経験があってから、私は旧札を見つけたら「次にその国へ行ったときに現地で使う」と決めています。両替所での換金は最初から期待しません。銀行や両替所は「商品として再販できる紙幣」しか買い取らないけれど、店頭での支払いは「その国で有効な通貨かどうか」だけの問題なので、判断の基準がそもそも違うのだと思います。
余った外貨の使い道は取っておくが基本
いろいろ試した結果、私の中での結論はシンプルになりました。余った外貨の使い道は、基本的に「次回まで取っておく」です。
再両替は原則やりません。ここまで見てきたとおり、主要通貨以外は往復で2割から3割が消えます。それなら現物のまま持っておいて、次の渡航で額面どおり使うほうがずっと得です。使い切れずに残ったときも、「また来るから」と再訪を誓って残しておくパターンが多いですね。
ただし、明らかに再訪しないだろうという国の通貨は例外です。その場合は少額のコインや紙幣を記念として持ち帰ることにしています。無理に換金せず、旅の記録として割り切ってしまう考え方です。イスラエルシェケルのように金額が大きいと割り切れませんが、数百円ぶんなら記念品と思えば納得できます。
そして何より大事なのは、そもそも余らせないことだと思っています。最近はクレジットカードが使える場面が増えて、現金の利用比率はかなり下がりました。現地通貨は「カードが使えない場面のぶんだけ」用意すれば足ります。屋台や市場、ローカルな交通機関くらいでしょうか。両替する額そのものを減らせば、余りも自動的に減ります。
判断の前に確認したいこと
両替の手数料やレート、取扱通貨は、金融機関ごとに、また時期によって大きく異なります。この記事の数値は私が渡航時点で確認した一例にすぎません。正確な情報や交換レートは各現地金融機関の公式サイトや両替所の情報をご確認ください。
余った外貨の使い道で迷ったら、まず一度全部出して棚卸ししてみることをおすすめします。何がどれだけあるかが見えると、「これは取っておく」「これは現地で使い切る」の判断が自然にできるようになりますよ。私の場合、その最初の一歩が畳の上に広げた11通貨でした。最初の整理はめちゃくちゃ大変ですが、一度やっておけばそのあとは楽です。
